龍神

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<はじめに>

技術の世界に関わって30年以上、シリコン造形にも長年携わってきて、
この歳になり、人生1度だけ技術の集大成作品を作りたいと思い、約2年半前から計画して製作し始めました。

この様な芸術作品は本来別サイトを開設すべきなのかもしれませんが、
信用性などを考えると、やはりここでUPした方が、技術的に信頼頂けると思い、ここで製作ページをUPする事にしました。

これだけの超大作となりますと、技術は勿論の事・信用第一!となりますので、
当然の事ですが、正真正銘madein Japanクオリティーで、全て私が製作しております。

※不定期ですが、完成まで道のりを画像と共に掲載していきますので、是非見て頂けると幸いです。



龍神完成ページ


最初は大まかなバランス取りをしていきます。
ドールの場合はパテでザクザク削って造形していくのですが、龍神の場合はそうはいきません。
ウレタンの下地に油粘土を仕様します。



たてがみは紙をチョキチョキしてくっつけて、本数・かたち・長さバランスを調整します。


かたちが決まったら厚紙に置き換えてアルミテープで綺麗に巻いてコシをつけて粘土に差し込みます。


バランスが決まれば 立体にして型取りしますが、既にたてがみだけで凄い数です(70パーツ以上あるかも・・)


試作の為、一度シリコンに置き換えます。


本格的な仕上げを施します(和の龍なのでロングノーズで決まりです)


こちらも試作のシリコン皮膚に置き換え。


とんとん拍子で進んでいる様に見えますが、この時点で半年ぐらい経過していたと思います(笑)



試作のヘッドにたてがみを付けて、次は胴体のバランスを調整します。
完成サイズが大きいので(全高約140㎝)首・上半身・下半身・腕・脚に分割出来るようにしておかなければなりません。
蛇腹とウロコで二回りほど太くなるので、その分を想定して下地を作ります。



蛇腹を一枚一枚作って重ねながら丁寧に貼っていきます。




これから何千枚も作っては貼り作っては貼りを繰り返していきます。






とにかく丁寧に綺麗に製作していきます。
一生に一度のマスターモデル(原型)なのでどれだけ期間が掛かってもやるつもりでした。







最後まで手で触れる事無くコーティングまで持ち込みます。


見えない裏側もキッチリ作り込みます。


無事型取りまで持ち込んで、ヒヤヒヤする粘土を脱型出来ました。


次は上半身
ウロコは、難しいのは勿論の事ですが、意外と悩んだのはサイズです。
最初は大きいサイズを考えてました(正直なところウロコの製作枚数が倍は変わってきます)

aしかし実際少し試してみたのですが、大きいとそれはそれでカッコイイのですが、ちょっと・・
モンスター獣と言うか怪獣系?ドラゴン?的な雰囲気になって、私のイメージしている和の龍とは少し違うので、
大変ではありますが、納得のいくサイズにしました。


案の定凄い数になってしまい、しかも表裏360°(笑)
何ヶ月掛かった事か・・



苦労の末 胴体の型取りが完成!


まだまだウロコは終わりません・・腕と脚があります。
そもそもこの下地造形のバランス作り自体時間が掛かるので、
イライラせず平常心を保ちながら、仕上がり重視でゆっくり作ったのを覚えています。



ところで龍の指って何本?と疑問に思い調べたら、
日本の龍神は3本との事なので、勿論3本指で進めました。


針で丁寧にスジを入れていきます。


手足の裏側など ほとんど見える事は無いのですが、妥協せず同じクオリティーで皮膚作りします。










角と同じく龍のトレードマークの髭です。


ここからはパテを使用して造形します。


水研ぎ


並行して背ビレ・角・尾も作成。
こちらはあらかじめ胴体調整の際に、形状・大きさ・枚数など全てバランスを取り、
厚紙でカタチを整えておきました。



これも30パーツ以上の数・・全てパテ仕上げしていきます。




更に、これらのパーツを両面型取りしていきます。


数個一組で分けて型取り。
山場を越えて そろそろ大詰め!って所でこの数 (約30枚・表裏で60)

正直心が折れて、マットを1プライで済ませて、急いで脱型。 
そのせいで型のプレートがかなり沿ってしまい凄く後悔しました・・




手・脚の脱
この粘土が絡みついて、型から綺麗に取り除くのが大変なのです・・


粘土を隅々まで取り除き、サフェーサー仕上げ。


これでほぼ全ての型が完成しました。
細かいパーツ類はまだありますが、ここまで到達するのに約2年・・

私のデザインした龍を現実立体にしようと思うと 「かなりの型数になるな・・」
とは想定しておりましたが、まさかこんなになるとは思いませんでした(笑)


長期の2年掛かって型を作ってきた訳ですが、まだ龍自体は1ミリも始まっておりません・・
ここからいよいよ本格的な作品作りに入っていきます。



並べたら庭いっぱいです。


まずはパーツ作り。
ここまで複雑な造形・表現が可能なのは「シリコン皮膚だからこそ!」とも言えます。
パーツの中にアルミ棒を固定して一体化させます。
そうする事で、たてがみや背ビレを自由に複雑なカタチに曲げる事が出来ます。



最初から曲げた状態で造形する事?も可能ですが、
全てのたてがみ同士が重なり合うので、とてつもなく複雑となります。
それに自由に曲げられる事でいろんなたてがみパターンが可能となります。



尾っぽも曲げられるようアルミを組み込みます。
しかし
全てのパーツにアルミを仕込ませるのは凄く難しく (しかも100パーツ以上・・)
いつになったら全てのパーツが揃うのか・・



改めてヘッドから製作し直します。


何度も繰り返して皮膚に厚みを付けていきます。





今回の作品は白龍で、段々黄金に変化していくイメージで進めました。

どの様な龍神にするかは <白龍・青龍・黄龍・赤龍などなど>
お客様の理想・好みで打合せをしながら決めていきたいと思います。




複雑なウロコがシリコン皮膚に変身しました。



シリコンは高価な材料、しかも大型作品なので相当なリスクを背負いますが、
それだけ価値のある極上品に仕上げます。



何度も仮止めして、バランス良い位置決めをしていきます。


背ビレは流線形で、流れるような躍動感を表現。


位置決めが完了したら、全てのパーツをバリ取り。


1日目


2日目


まだある・・・


きりが無い・・・
ま~100ぐらいあるので当然ですが(苦笑)





たてがみや角などの差し込み口は綺麗にくり抜いておきます。


ヒゲは型では無く、1本1本手作りしていきます。


これも凄い数・・・


1度仮止めして、バランスが決まってから接着していきます。




背ビレは事前に特殊溶剤でコーティング施工。
これは後ほど全身に施さなければならない工程です。





ようやくここから龍に変身していく工程。


まずは一体化させて、皮膚感・質感を表現していきます。
私の1番の得意分野です(笑)





今回の龍神は白龍ベースですが、だからといってこれに影付けて完成!とはいきません。
白系でも全てに着色・特殊メイクを施して、深みのある仕上がりにします。



以前背ビレに施した特殊溶剤を全身にコーティングします。
皮膚の強度が増し、オイルブリードもかなりガードするので、最初に全身に施してから本格的に進めます。



肉体として実在はしませんが、まるで動き出しそうな?
言うなれば、まるで龍の剥製みたいな高クオリティーで世界に1体の龍神を製作します。


下地にイエロー・ブラウン・ブラックで丹念に強弱を付けます。
龍神に使用するのは、塗装用のゴールドパールやメタリックなどは使用せず、
金粉と金箔を使います(笑)



白のウロコ部分にクスミを入れていきます。


適当に汚すのではなく、ちゃんと目で確認しながらクスませます。
この大きさなので360°は大変時間が掛かりますが、剥製みたいにする為に(笑)



綿棒で色が付きすぎている部分を取っていきます。
広範囲で着色してしまうと硬化してくるので、着色しては綿棒の繰り返し。
最初のシリコン状態から比べると更に浮き出てきたのが分かります。



こんなに汚すのは勇気要りますが、やるのです!(笑)


濃い色ばかり乗せていくと、どんどん黒くなっていくので、
明るい系・暗い系を交互に調整しながら皮膚っぽくなるまで重ねます。



ソリッド状態でも何となく金色っぽく錯覚する様に表現すると、後の金粉が生きてきます。


尻尾の方にかけては、生き物感よりも金塊?黄金の装飾品みたいな質感にしたかったので、
上半身の生き物表現との境目ギャップが出ない様に金を上半身にも散らしておきます。



ここで背ビレの固定・接着を決めていきます。


ある程度胴体を進めてからでないと着色の邪魔になってしまうので、
後半に来た辺りで固定していきます。

第1度目の金粉もこの辺りで吹き付けます。
金粉も一度に大量塗布してしまうと、周りに広がっていくだけで浅い光沢になるので、
戻す・金粉・また戻す・金粉・着色・金粉のループ!捨てる粉の方が断然多いですが、
繰り返していくうちに、重量感すら感じるファラオの黄金装飾品みたいになってきます(笑)



徐々に深みが出てきましたが、まだまだ着色の追い込みが足りません。


カッコよくはなってきました。


尾っぽは単体で仕上げていきます。
こちらも最初に金粉は使用せずイエロー・ブラウンで強弱をつけて、ゴールドっぽく表現。
これが後の金粉に反映してきます。



フチの部分全体にモサモサ感を作って、表面はザラザラにしました。


どんどん細かい部分の着色に入っていきます。
この辺りから段々生きているみたいに変化させていきます。



角の根元は茶色系で。
着色だけでは無く、劣化表現も立体的に。



眼球はどうするか悩みました。
あえて瞳は表現せず白目状態もカッコイイかと思いましたが、眉毛?を付けた時、
眉毛の影が眼球に移り込んで縦線が入り、表情に影響したので、瞳を入れる事にしました。



歯も左右角度を意識しながら慎重に接着していきます。




パーツが多すぎて、部屋が散らかりまくってます・・
もう何ヶ月もこんな状態が続いておりますが、いつになったら片付く時が来るのやら・・・



たて髪。
これはただ接着するだけでなく、しっかり根元に軸を通して安定させてから更に接着。
一番後ろから前に向かって順に固定していきます。



背ビレ・たて髪にはアルミワイヤーを仕込んであるので、微調整が出来ます。
しかしながら このパーツを作るのが鬼のように大変な作業!



根元の方はあらかじめ着色をしておいてから次の列に進みます。




ひとまずたて髪は全て固定・接着しました。
まだまだ着色は追求していきますが、一旦保留で、
このまま眉毛とヒゲの植え込みに着手していきます。。



左側のたて髪は全体的なバランスを考えて、先端部分をイエロー・ブラウンでグラデーション。
そして金粉!(笑)



かなり仕上がってきた様に見えますが・・実はこれでも全体的にまだまだなのです。
でも、先に尾っぽだけは完成させておきました。
下地のグラデーションに金粉をバランスを見ながら、パウダー状で何度も吹き付けます。
強弱をつけながら何層も重ねて黄金になってくるまで永遠に繰り返します(笑)



かなり黄金感出ましたでしょ?(笑)
車で、あらゆる種類のゴールド塗装をしてきましたが、やっぱり金粉は全く別の輝きをしますね。
ゴールド!と言った例えより、まさに金!です(同じ意味なんですが・・)
更に仕上げに金箔をピンセットで貼って散りばめます。




ここからは眉毛・髭の表現です。


これもマニュアルなどの決まりは一切無いので、バランスを見ながらセンスで(笑)
これがまた・・・バランス決定まで結構何時間も掛かりました。
角度次第で目つきが変わるので、「鋭く睨みつける!」様な表情になるように。



バランスが決定し、接着固定してから着色して一体化させます。


同じく髭も長さ・方向を意識して「勇ましく・躍動感ある」感じを出していきます。


更に全体を追求。
こういった生き物?系は、ついつい濃い(黒い系)の色を乗せがちになってしまうので、
そこを「グッとこらえて」(笑) 白龍である事を忘れずに進めていきます。



ウロコも縁取りでは無く、「胴体の色素と汚れ」みたいな。




接着前にある程度の着色をしていきます。

改めて何も着色していない状態を見るとただの白でしょ?
立体であるにもかかわらず立体感が無いと言うか・・・



芯を入れて専用接着剤で固定





角も同じですが、生き物独特の、爪の固い物質感




顎下の細かい髭も作ってモサモサ感を出しました。



これで特殊着色が全て完成しました。

次回からは最終の全身コーティング施工です。
着色前に一度コーティングした物を、溶剤濃度を変えて改めて仕上げのコーティングをします。



車で言えばクリアーですが、この場合はツヤより皮膚の保護と、シリコン特有のオイルブリード
などを抑え込む役割を果たします(勿論完全ではありませんが)

※これは、特殊な配合をするので、業界でも私しか知らない魔法の溶剤なのです(笑)


ここはローラー。
よく隅々まで確認しながら膜厚も均一にコーティングします。



複雑な部分は吹き付けで。


日にちを置いて完全硬化させたら、ベビーパウダーを刷り込んでツヤ消ししていきます。


生き物的な生々しさが出ますし、メンテもしやすくなります。






これで龍は全て完成しました!
思えばここまで辿り着くまで約2年半・・・
後半の1年は殆ど龍を優先して製作していたので、収入が乏しく・・
精神との闘いでもありましたが(苦笑)
一生に一度きりの大作なので、もうそのまま突破しました(笑)

残すところは龍神の立体文字の製作ですが、ここダイアリーでは省略します。
近日YouTube動画もUPしますので、是非見てやってください。


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